君にハートを盗まれた。

「ご、ごめんなさい」


ヤダ。気づかれていた。

余計に恥ずかしさが増してきて

頭から湯気が出そうなぐらい顔が赤くなるのを感じて


あたしは、視線を先輩から床に移した。

先輩は、再びあたしの前に片膝をついて座り。

「ちょっと染みるかもな、我慢しろよ」

少しぶっきらぼうに言うと、あたしの足に触れ。消毒液を吹き付けて、丸い脱脂綿でトントントンと拭き始めた。


「痛くないか?」


「うん」って答える。だって、痛みなんてもうどうでもいい。

痛みよりも、ドキドキが大きいんだから。


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