君にハートを盗まれた。
「よし…傷口は浅いなぁ…カットバンでいけるか?」
ドキドキしているあたしとは逆に、先輩は、真剣な表情。
傷口を見ながら少し大きめのカットバンを貼ってくれた。
「これでよし。大丈夫か?」
片膝ついたまま、心配そうにあたしの顔を見上げた。
「はい…大丈夫…」
いつもは、あたしが見上げるのに。今は先輩があたしの顔を見上げている。
普段とは真逆のシチュエーションに
思わず視線が泳いでしまう。
「ヒカリ…」
不意に下を向いて俯く先輩。
「は、はい」
ドキドキしながら答える。
「ヒカリ…ずっと、俺のそばにいてくれるか?」
「えっ…?」
俯いたまま言った先輩は、いつもの堂々とした雰囲気とは違っていて。
どこか不安げで力なく感じた。