君にハートを盗まれた。

頭の中はチンプンカンプン。


チラッと先輩の顔を覗くと、あたしの視線に気づいた。


「ごめん、つまんないよな?」

「うぅん。そうじゃなくて。先輩…受験生なんだよなぁ…って思っただけ」



これから、今まで通り、こうして一緒に帰ったり。本屋さんに寄り道したりできなくなるのかな?


そう思うと、なんだか寂しくなってきた。


「なにいじけた顔してんだよ?」



「へっ?いじけてないよ」


先輩に見抜かれてる?


「そんなに俺に相手されないのが寂しいのか?」


ニヤリと口元を緩めて言う先輩は、やっぱり意地悪だ。



「違うもん。そうじゃないもん」


こんな時、素直になれないあたしって…ホント可愛くないな。



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