君にハートを盗まれた。

「そんなにむくれるなよ」


「むくれてないもん」


ホントは完璧にむくれてる。こんな顔見られると、また先輩からからかわれる。先輩に見られる前に逃げよう。


「あっ、逃げた!」

逃げ出したあたしに

「素直に寂しいよって言えよ!」


なんて言いながら先輩が追ってきた。おまけに、やっぱり見抜かれてるし!


「そんな事、言わない!」


ってか、本屋でそんな事言えないでしょう?


先輩から逃げるように本屋を出たら


「捕まえた!」


先輩があたしの腕を掴んだ。


「俺から逃げられると思ってんの?」

ニヤッと笑われ「うっ…思ってません」素直に負けを認めた。



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