君にハートを盗まれた。

そんな事を考えていたら、胸の奥がチクチク痛み出して涙がポトリとこぼれ落ちた。


望みのない恋だとしても、好きになった想いは止められない。


どうする事もできないこの想いは、もうあたしには…抱えきれないほど大きくなっていた。



「うぅ…あぁ…」


こみ上げてくる胸の苦しみ。痛む心。

好きなのに…。どうする事もできないよ…。



膝を抱えて、泣いた。

胸が苦しい…苦しいよ…。


その時だった…。


「お前…また泣いてんのか？」



突然、頭上から降ってきた言葉。


あたしは、ビクッと反応して、上を見上げた。


そこには…



「お前って、よく泣く女だなぁ」


そう言って、呆れながらも優しい瞳であたしを見る先輩の姿があった。