君にハートを盗まれた。

先輩から振られる事は分かっていた。
初めての告白で振られたし。心だって今まで感じた事のない痛みを感じている。


だけどね。諦める事ができないんだ。

「先輩…。先輩に好きな人がいるの、あたし知ってました。優花先輩っていう人ですよね?」


「どうして知っているの?」

少し、驚いたように目を見開いて聞く先輩。


「友達で、先輩と同じ中学に通っていた子がいて…その子から聞きました」

あたしの言葉に、そう…。と小さく頷く先輩の表情が、少し悲しげに見えた。

先輩の心に、やっぱり優花先輩はいるんだね…。だけどあたしは、そんな先輩が好きだから…自分の気持ちを伝えたいって思うんだ。


だけど、どうしよう…。緊張で足がガクガク震えてきた…。


しかも、さっきまで屋上の出口の近くにいた先輩が、あたしの方に近づいてきた。


顔の表情は、下を向いているからよく分からない。


けど、絶対、困っているよね?

それとも…嫌われてしまったのかな?

しつこい女だと…想われたのかな…。



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