君にハートを盗まれた。

カタカタと鳴る筆箱の音。ぼんやり、その音を聴きながら曲がり角を曲がろうとした時


ドンッと顔が何かにぶつかり、鼻がズキンと痛んだ。


「イッ…たぁ…」

思わず、片手で鼻を押さえた。勢いよくぶつかったせいで顔は痛みで歪み両目をつぶった。

「ヒカリ、大丈夫?」

心配そうに聞く美空に「大丈夫…」と涙目で答えた。


何にぶつかったのだろう?鼻を撫でながら閉じていた瞼をうっすら開けてみると…。



「大丈夫か…?」
と、悪かったと罰が悪そうな顔であたしを見ている、先輩の姿…。



< 39 / 198 >

この作品をシェア

pagetop