君にハートを盗まれた。
カタカタと鳴る筆箱の音。ぼんやり、その音を聴きながら曲がり角を曲がろうとした時
ドンッと顔が何かにぶつかり、鼻がズキンと痛んだ。
「イッ…たぁ…」
思わず、片手で鼻を押さえた。勢いよくぶつかったせいで顔は痛みで歪み両目をつぶった。
「ヒカリ、大丈夫?」
心配そうに聞く美空に「大丈夫…」と涙目で答えた。
何にぶつかったのだろう?鼻を撫でながら閉じていた瞼をうっすら開けてみると…。
「大丈夫か…?」
と、悪かったと罰が悪そうな顔であたしを見ている、先輩の姿…。