君にハートを盗まれた。
瞬間…トクンとあたしの鼓動が跳ね上がった。

久しぶりに、間近で見る先輩の顔。

久しぶりに聞く先輩の声。


鼓動は、鳴り止む事をせず、トクン…トクン…激しさを増していく。


鼻を押さえたまま、身動きできない。

「ごめん…。大丈夫か?」

心配そうな顔の先輩。その顔を思わず目を見開いて見つめてしまう。

心が苦しく締め付けられる。それなのに、先輩から視線を逸らすことができない…。


「ヒカリ…?大丈夫?」


美空の声で我に返った。


「だ、大丈夫だよ」

とっさにそう言うと、恥ずかしくてこの場から早く逃げ出したくて。


「ごめんなさい」

だけ言って先輩に頭を下げて、逃げ出すように駆けだした。



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