君にハートを盗まれた。

「ヒカリ!?待って！」

後ろから聞こえてくる美空の声。


立ち止まらないで先輩からあたしの姿が見えなくなる距離まで走った。


「ハァ…ハァ…ハァ…」


息が苦しくて、ようやく立ち止まり胸をおさえた。


トクン…トクンの中にチクンと痛む心。

あれだけ見たかった先輩なのに…。


どうして、逃げてしまったの？


答えは分かりきっていた。


拒絶されるのが怖いからだ。


あんな事があって、嫌われる事がイヤだったからだ…。


だって、あたしの心が、こんなに苦しくなるぐらい先輩が好きなのに…。


「俺なんてやめておけよ…」


先輩から言われた言葉が頭から離れなくて…。


心が身動きできないんだ。