君にハートを盗まれた。
放課後。久しぶりに廊下で先輩を待った。

げた箱へと続く階段が見えるか見えないかの距離。


壁にもたれながら、複雑な気持ちが先輩が来るのを待つ。

別に何かを話したいわけじゃない。

別に何かを言われたいわけじゃない。

姿が見れたらそれでいい。


そう思っていたはずだった…。



だけど…。



見えてきた先輩の姿。
隣には、親しげに話す綺麗な女の先輩。

チクンチクンと胸が痛む。もしかして…彼女ができたのかな?優花先輩の事を忘れて、他の人と付き合うことにしたのかな?


そう思うと、なぜか涙がこぼれ落ちそうになって、思わず唇を噛み締めた。

自分の気持ちが分からない…。分からないよ…。

そう思った瞬間だった…。




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