君にハートを盗まれた。
「ちょっと!?先輩!?」
階段を降りる人波に逆らうように。階段を上がっていく先輩。
先輩は、足が長いせいか歩幅が広く一段飛ばしでドンドン階段を上がっていく。
逆にあたしの足は短いから。先輩についていくだけで必死だった。
「せんぱい…ど、どこにいく…んですか?」
息を切らしながら聞いても、先輩は何も答えてくれない。
そして、ようやくたどり着いた場所は屋上だった。
誰もいない屋上。息は完全に上がっていて、肩で息をする。
逆に先輩は、涼しい顔で息なんて全く上がってない。
なんか…悔しいな…。どうしてそんな涼しい顔ができるの?
あたしは、あの日のイジワルなキスを思い出して。胸はいっぱいで苦しくて、顔は熱く火照っているのに…
悔しいよ…。