君にハートを盗まれた。
その悲しみの深さに、思わずしゃがみ込んで、膝を抱えた。
「ふぇ…」
あたしは、誰もいないこの屋上で流れ落ちる涙を我慢することなく泣いた。
そう、誰もいないと思っていたから…。
なのに…。
「うるさいな…。せっかく寝てたのに。目、覚めちまったじゃないか」
予想もしていなかった声が聞こえてきた。
しかも男の子の声。
ビクン!!と体を強ばらせ辺りをキョロキョロと見渡した。
すると、誰もいないと思っていた壁の向こうからヒョコっと見知らぬ男の子が1人。
如何にもさっきまで眠っていたのか。大きな欠伸をして、頭を掻きながら現れた。