君にハートを盗まれた。
「せんぱ…」

ドンドン遠く離れていく先輩に

絞り出すような低い声で言った。


すると、先輩の足がピタッと止まり後ろを振り返り


「どうした?」


そう言うと、身動きできないあたしの方に近づいてきて…。


「手、繋ごうか」


少し照れながら差し出された左手。


ドキンって鼓動が跳ね上がる…。


「えっ…」


嬉しさと喜びと、恥ずかしさで…顔は、きっと真っ赤だ。

だって、大好きな人の手だよ。

男の子と手を繋ぐのも初めてなのに。

そんなすぐに触れられないよ!


そう思っていたら、先輩があたしの手を優しく包み込むように繋いだ。



ドキンドキンって鼓動がますます跳ね上がっていく。


「いこうか」


照れながら笑ってる先輩に「はい」と笑ったあたしの笑顔。

きっと恥ずかしいぐらい真っ赤で茹でだこだね…。




< 59 / 198 >

この作品をシェア

pagetop