君にハートを盗まれた。

 「つぎ、なに見に行こうか?」


 先輩の言葉に「イルカ!」あたしは元気よく答えた。

 「イルカ好きなの?」

 「はい。あたし、小さい頃からイルカが大好きなんです」

 イルカって、見ているだけで心がホッとするっていうか。
 泳いでいる姿が、いいなぁって羨ましくなるぐらい気持ちよさそうに泳いでて。

 「あたし、小さい頃本気でイルカになりたいって思った事があったんです」

 バカみたいですよねぇって、頭を掻きながら言うと

 「いや。スゲェ可愛いいと思うよ」

 そう言ったあと先輩は、照れくさかったのか。
 なんだか先輩の頬が赤く染まっているように見えた。


 「先輩・・・顔、赤くなってますよ」


 先輩は「な、そんなことないって」はぐらかすように言うけど
 次第に真っ赤に染まっていく先輩の顔。


 「かわいい」


 思わず口に出てしまった。


 あたしの言葉が聞こえたのか。反応するように余計に先輩の顔が赤く染まった。



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