君にハートを盗まれた。

 「わぁーー凄い!!」

 イルカのショーが始まって、すぐ目の前でジャンプするイルカ達。
 周りは大歓声に包まれていて、その歓声に応えるように
 何度もジャンプするイルカ達に、あたしの視線は釘付けになった。


 隣で見ている先輩も、楽しそうに見ている。
 大好きな人の笑顔って、どうしてこんなに見ているだけで幸せな気分になれるんだろう?  


 「お腹空いてない?」

 ショーが終わったあと、先輩が聞いてきて。あたしはコクンと頷いた。

 「ここの下にレストランがあるんだけど、そこ行ってみる?」

 「はい」


 先輩と2人でレストランに向かうエスカレーターは、少しだけ薄暗くて。
 天井が、半円状のガラス張りになっていて、魚達が気持ちよさそうに泳いでいる。


 「いいなぁ。あんな風に気持ちよさそうに泳げて」

 なんだか、羨ましい気分になって上を見上げながら言うと

 「そうだなぁ。気持ちよさそうだなぁ」

 先輩も、上を見上げながら呟いて、そして・・・・


 「チュ・・・」


  ----へ?驚いて目を見開いているあたしの斜め上から、先輩のキスが降ってきた。

















 


 
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