君にハートを盗まれた。

「いいんですか…?」

きょうのデート代。あたしも出すって言ったけど、先輩が全部出してくれていて

それなのに、プレゼントまで貰っても、本当にいいの?


「いいに決まってるだろ。それに、俺にこんな可愛いぬいぐるみは似合わないって」

「けど…」


「いらないなら、返してくるけど」


先輩はそう言うと、あたしからイルカのぬいぐるみをもう一度ヒョイと持ち上げた。


慌てて「いります!」って言うと


イタズラっぽい顔で「はい。プレゼント」ってニカッて笑った。




「ありがとう…ございます」


頭をペコリと下げて言うと


「どういたしまして」


嬉しそうな笑顔で、あたしの頭に軽くポンと触れた。


瞬間…心の奥がキュンとしたんだ。



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