君にハートを盗まれた。
チラッと寝転んだままの先輩の顔を見てみたら、瞼を閉じて気持ち良さそうにしている。
その先輩の表情が、なんだか気を許してくれているように感じて。
あたしは、なんだか嬉しくて。
何も話さないまま、視線を海に移して、どこまでも広がる水平線を眺めていたら。
「ありがとうな…。ヒカリ」
ふと、聞こえてきた先輩の言葉。
「えっ?なにがですか?」
不思議に思って聞いてみると
「俺の事、好きになってくれて」
「えっ…」
先輩の言葉が嬉しくて。頬が赤くなるのを感じながら、先輩の顔を見てみると
「ありがとう」
そう言って、瞼を開けて、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。