もしも、許されるのなら。
『もしもし?涼香…?』

「お兄ちゃん?……あの…」

『ん?』

「えっと…」

早織ちゃんが手を握ってくれた。

「……話さなくちゃいけないことがあるの…」


早織ちゃんに手を握られたまま、お兄ちゃんに全てを話した…


『……そっか…妊娠…』

「うん…」

『産んでって言いたいけど、兄妹だもんな。』

「うん…っ」

『俺は…産んでとは言えないよ。』

「…うん…分かった。じゃあね。」


「涼香……」

「産んでとは言えないって…」

「…涼香はどうするの?」

「……私は…産む。」


「…そっか。」

「家族に見捨てられてもいい。この子と二人で生きる。」

「涼香が決めたなら何も言わないけど…私、涼香と一緒にその子育てる。」

「え?」

「親友がシングルマザーになるって言ってるんだもん。少しぐらい手伝わせて。」

「……。」


早織ちゃんにそこまで背負わせていいのかな…

早織ちゃんにだって、未来があるのに…




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