ずっと好きだったから。

雪菜ちゃん


夏休みまであと1週間をきった時だった。

この頃彩は毎日クラブで大変だったから

わたしは毎日佳奈美と帰ってたんだ。

今のところ牧の話をしているのは、

小池くんと純と彩だけ。

でもそろそろ佳奈美にも言った方がいいかな?

とも思い始めていた。

それでもいきなり、

『わたし、牧の事好きやねん!』

といわれても佳奈美もびっくりするよね。

だからさりげなく牧の話題を持ちかけることにした。


『なあなあ~C組の牧ってどんな人?』

『なぜにいきなり?!
 うーん・・どんな人やろ。
 とにかく怖いでな。
 
 いや優しいねんで?
 喧嘩とかじゃなくって自己中心的な感じ。
 オレ様みたいな?笑』

やっぱりこの返事だ。

みんな牧の性格良くは言わないんだよね。

『そうなんやあ~』

といいかけたときさきに佳奈美が、

『でもあの人の元カノめっちゃ可愛いべ?』

驚きを隠せない。

でも知りたいと思った。

牧がどんな人を好きになって、どんな恋愛を

してきたのか。

今思えばこの時耳を塞いででも聞かなければ

よかったんだ。

『え、牧って彼女おったん?!』

『まあ、中学校の頃の話やけどなあ。
 雪菜ちゃんって言ってめっちゃ
 ほわーんって感じで可愛い子。
 
 まあけっこうたらしとも聞くねんけど。』

『そうなんやあ・・』

『なんか牧って今まで
 雪菜ちゃん以外の子と付き合った事も
 ないみたいやから唯一の本気で惚れた
 相手ってかんじやんな。』

『そっかあ・・』

もうこの言葉しか声にならなかった。

わたしが好きな以上に牧も

他の女の子の事好きだったりするのかな?

うちのこの気持ちとまったく同じ気持ちを

他の女の子に抱いているのかな?

やっぱり佳奈美にはいえないまま

その日はばいばいした。
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