図書室の恋
そして、告白…
その後、
彼からメールが何通かきたけど、
全て返すことができなかった。
彼女 がいる人 と、安易にメールなんてできない、
増してやこっちに気があるなら特に。
私がもし彼女の立場だったら、
他の女の人と連絡を取り合うことはして欲しくないから…。
関わらなくなって早一ヶ月。
彼と初めて話した、あの本棚へとたまたま行ったとき。
角をまがったそこに、
ずっと私の頭の中を占領していた、彼がいた。
「っ…」
瞳が交わる。
私は小さく謝ったあと、その場を去ろうとした。
けど、
「佐久良さん!」
私を呼ぶ彼の声に、思わずぴた、と足が止まる。
「最近、俺のことさけてるでしょ」
「…どうして?」
声が震えていないだろうか、
私の動揺を感じられてないだろうか。
くやしくも一ヶ月ぶりに聞いた加納くんの声は、
私の耳にひどく心地よかった。