図書室の恋
「…“彼女がいる人”と気軽にメールなんてできないよ。」
うつむきながらそう言うと、は?とほうけた声がした。
「カノジョ?
あの女、その女、とか不特定の女をさす感じの彼女?
英語で言うとSheみたいな。」
「違うから!!
Girl Friendのほうだから!
なんでこの雰囲気でそんなギャグみたいなこと言わなきゃいけないの」
「あぁ、ですよね~
てか俺、彼女なんていないよ?」
「は?」
今度はこちらがほうけた声を返す番だった。
「いない…の?」
「うん。いないよ?」
「…じゃぁあの子は?
けっこう前にしゃべってた女の子」
「けっこう前?」
「あの、新着本の話の時に」
「あぁ、華奈のこと?」
ずきんと胸が痛む。