図書室の恋
「彼女にするんだったら…
趣味の共通点はあんまないけど、
同じ作家が好きで、本について盛り上がれて、
勘違いを時々する子で。
そんで、おしとやかな子がいいな、俺は。」
「…そう、なんだ。」
私に好みの話をされても。
おしとやかな子とは程遠いだろうし、
たとえそうなろうと努力しても
彼の好みにぴったり一致するとは限らないし、
頑張ってもだめだった時、
どれだけ悲しく、切なくなるか、その気持ちは計り知れない。
だから、そんな話をするんだったら、
私みたいなただの友達
じゃなくて、
狙ってる子 にしてよ。
「…佐久良さんってさぁ。けっこう鈍いよね。」
「は?」
見上げると、加納くんは私を真剣な眼差しで見ていた。
あまりに真剣で、目が離せない…。
「だからぁ、」
はぁとため息混じりに彼はこう言った。