図書室の恋
「あ、ごめんなさい」
「悪い…」
お互い気まずいようにさっと手を引っ込める。
そして「どうぞ」という前に、
相手から「これ読みたいんでしょ?はい」と
その本を渡された。
「え、でも…」
「俺のことなら全然気にしなくていいから。 だって…」
そう言って彼は、片手に持っていたものを私に見えるように持ち上げた。
「こんだけ読むもんあるから」
冊数を数えると、なんと5冊!
そんなに読むんだ…。
「それなら遠慮なく借りるね。」
「どーぞ。
この作家、好きなの?」
「うん!すごく」
私たちが手に取った本の作家の作風を一言で言うと、
「戦闘の中のベタ甘。」といった所。
(いや、反対かもしれないな)
最近の作品には戦闘色があまり強くないものも多いけれど。
“ベタ甘”というジャンルが大好きな私にとって、
この作者さんはもはや神に近い。