図書室の恋
「あ、」
「ん?」
突然彼が声をあげて、照れたようにはにかんだ。
「今更だけど、俺、
3の1の加納 飛龍(かのう ひりゅう)です。」
上履き(というかスリッパ)の色が青だから
同じ学年なのは分かってたけど
1組=理系クラスなんだ。
「あ、私は3の7の佐久良 蛍(さくら ほたる)です。
よろしくね」
私が手を出すと
彼は一瞬びっくりした表情を浮かべたけれど、
すぐにギュッと手を握ってくれた。
「よろしく」
「ちなみに、他にどんな作家が好き?」
「えっとねぇ・・」
私が、有名な直木賞作家の名前をあげると彼は目を見開いた。
「おっどろいた、そこまで趣味が同じとは」
「え!?そうなの?」
「うん、俺もその作家、好きだよ。
後は男性作家だと、池袋を舞台にした本を書いた人とかかな。」
「その人の作品、私何冊か持ってるよ!短編集、っぽいやつ」
「マジ!?」