図書室の恋
その日も、図書室でたまたま会った。
「よっす」
「加納くん。新着本見に来たの?」
「そうそう。新作、入ってたから」
「残念。もうキープしちゃいました。」
と、彼に向けて、私が持っていた本を掲げた。
「うわっ…負けた! くっそー、ごみ捨て行っていたばかりに…!」
あそこで俺がジャンケン負けなければ…と
加納くんはブツブツ言っていた後、突然私の両肩に手を置いた。
思わず、心臓が跳ねる。
「佐久良さん」
「は、はい?」
「友達のよしみで、それを先に貸してくれないだろうか!?
3日、いや2日で読んでくる!」
この本は私もけっこう前から楽しみにしていたわけで。
でも、私と同じくらい、多分くんも楽しみにしていたんだろうなと思う。
私は読むのが早い方ではないから、
2日で読めるんだったら先に…と思ったんだけど。