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ふと左腕に何かがぶつかった。
俺にぶつかったそれは、ヨロヨロと力なく地面に尻餅を付く。
「あいたたた……」
ペタンと座り込んでいたのは、一人のばあさんだった。
右の頬には大きな茶色いシミ。
頭髪はほぼ全て白髪の、どこにでもいる普通のばあさん。
転んだ際に痛めたのか、顔を歪めて左足首をさすっている。
ふと視点をずらせば、
籠から飛び出した野菜。
転がり落ちた林檎。
「チッ……」
めんどくせぇ…
バイトに遅れちまう。
何たって生活かかってんだ。
悪ぃな。
俺はばあさんをほったらかして、駆け出した。
罪悪感は、ない。
だって生活が
人生がかかってんだ。
今度のバイトがクビになって、新しいバイトを探す気力なんて今の俺には到底ない。
…ただ…
左腕に残る微かな温もりと人体の感覚が
気持ち悪かった。
俺にぶつかったそれは、ヨロヨロと力なく地面に尻餅を付く。
「あいたたた……」
ペタンと座り込んでいたのは、一人のばあさんだった。
右の頬には大きな茶色いシミ。
頭髪はほぼ全て白髪の、どこにでもいる普通のばあさん。
転んだ際に痛めたのか、顔を歪めて左足首をさすっている。
ふと視点をずらせば、
籠から飛び出した野菜。
転がり落ちた林檎。
「チッ……」
めんどくせぇ…
バイトに遅れちまう。
何たって生活かかってんだ。
悪ぃな。
俺はばあさんをほったらかして、駆け出した。
罪悪感は、ない。
だって生活が
人生がかかってんだ。
今度のバイトがクビになって、新しいバイトを探す気力なんて今の俺には到底ない。
…ただ…
左腕に残る微かな温もりと人体の感覚が
気持ち悪かった。