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受け取った紙切れのしわを延ばしてみる。
「…『お好きな煙草をひとつサービス』…」
あぁ、そういえばうちのコンビニそんなサービスしてたな…
「…では、こちらのサービス券と引き換えで?」
「はい、お願いします」
苦笑いの中に何処か安心感を漂わせつつ、サラリーマンは乱れたスーツを整えながら答えた。
俺は苦手な愛想笑いを少しだけ作りながら、彼に煙草を差し出す。
彼はそれを受け取りながら、レジに積もった紙の山に視線を落とした。
「あ…悪いけどそれ捨てといてもらえるかな?」
なんだよそれ…
「えぇ、わかりました」
明らかにうちのコンビニには無関係のレシートやらメモやらばっかりだ。
此処はゴミ箱じゃねぇっての…
サラリーマンが店を出た途端、瞬時に愛想笑いが消える。
ほんっとに…めんどくせぇヤツばっかし…
俺は積もった白い紙切れを両手でかき集めようとした。
しかしその中で、あからさまに一枚だけ皺のよっていない、ピンと張った綺麗なカードのような紙が混ざっていた。