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午前中に無駄に舞い上がっていた自分を振り払うように、寒空の中グッと背伸びをした。
「――――寒っ…」
バイトで疲れた背筋は伸びたが、顕になった首元に尖った風が刺さり、慌てて身体を押さえ込む。
早く帰って布団にくるまりてぇ…。
金もなければ、やることもない。
趣味も、やりたいことすらない。
―俺は、何してんだろ―
いつの間にか、そんな疑問さえも持たなくなっていった。
「生きる」という最低限のことをやり遂げるために、最低限の行動をする。
ただそれだけで、次々と24時間は過ぎていく。
どんなに季節が変わろうと、俺の日々の色が変わることはなかった。
…あの馬券当たってりゃ人生変わるだろうがな…
また小さく嘲笑を零して、朝も通った商店街へと足を踏み入れた。