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商店街は、夕飯の材料を買いに来たのだろう主婦たちで賑わっていた。



「あらやだ~!ほんとに~??」

「そうなのよ~!信じられる~!?」


何がそんなに面白いんだか。

ネギが飛び出して、その上はち切れそうなスーパーの袋を提げてケラケラと笑い合っている。


「あ、そうそう!また集団自殺ですってよ~!今度は40人!」

「またなの~?なんかもうさすがに驚きもしないわねぇ~?」



また…か…


どんなに奇妙で恐ろしいことでも、度重なれば麻痺しちまう。

俺自身も決して例外ではなかった。


くだらねぇ…


俺は今朝みたいに無駄に時間を使わないためにも、なるだけその主婦たちの声に耳を傾けないようにして早足で歩みを進めた。






そして、今にも潰れそうな小さな電気屋の前に通りかかった時



『いや~まさかの結末でしたね~!!』


『ほんとですね~!この組み合わせを購入されていた方はウキウキで払い戻しされてるんでしょうね~!』





払い…戻し…?


組み…合わせ……?



電気屋の前に置かれた、「激安特価」の黄色い札のついたプラズマテレビが気になる単語を発していた。

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