1 3 6 5 8 3
「な…んで…何でねぇんだ…!!」
アスファルトに座り込んだまま、硬直した拳で地面を叩く。
今度は引っ掻き傷が出来て、とぎれとぎれに赤い血筋が浮き上がった。
コンビニの横には、古い文房具屋。
その隙間でさえも入り込んで探した。
男性一人入るのが限界のその細い道を歩きながら、小さなカードを求めて目を懲らした。
なのに
「どこあんだよ……!」
俺の人生を変える切符は見つからなかった。
「あ…そうだ……!」
まだ、コンビニの前で探してはいない場所が一つだけ残っていた。
そこはあまりにも目立つ存在で、あまりにも店の前に堂々と置かれていたために、気付かずにいたのだろう。
そうだ…きっとこの中だ…!
確信にも似た沸き上がってくるこの感情に、自然と気味の悪い笑みが零れる。
俺は赤く滲んだ拳の流血に一切目もくれず、そこに向かってゆらりと歩き出した。