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俺は畳にくっついたままの布団を蹴り上げ、部屋の角へと押しやった。
「…きったねぇ…」
追いやられた壁で萎れる布団が、ひどく惨めだった。
俺はフンと鼻を鳴らし、携帯と財布をかばんに投げ込む。
ふと財布を取り出してみると、入っていたのは300円。
しかも100円玉2枚と50円玉2枚。
「…マジでやべぇ…」
俺は財布を再びかばんの中に突っ込みながら、冷蔵庫の扉を開けた。
冬の空気よりも更に冷たい冷気。
俺は少し身体を震わせて、その中を覗き込む。
「こりゃ~…家賃どころじゃねーな…」
賞味期限を過ぎた牛乳が一本。
半枚のハム。
もはや何か分からない、何かの野菜の葉が少々。
気付けば俺の生きる糧は、それだけになっていた。
「…給料前借り出来っかな…」
そう呟いて、扉を閉めた。