1 3 6 5 8 3
ふと通りかかった花屋の中を覗き込み、壁に掛けられた時計を見る。
「やっべ…!遅刻だ…!」
くだらない主婦の話に歩みを緩めた自分に苛立ちながら、走る速度を上げる。
ったく、なんか今日はすんげぇイライラすんな…
高音を上げるアラームの音を思い出して、機嫌がますます悪化していく。
やりたくもないバイトのために、体力を消費せねばならないことも、非常に腹立たしかった。
「くっそ…なんでこんな…っ」
―東京に行ったからってやりたいことが見つかるとは限らんだろう?―
―だけど淳も裕介も東京はやっぱ違うって―
―父さんは反対だ。皆が成功したからってお前もそうとは限らんだろう―
―父さんが何と言おうと俺は東京に行く!こんな田舎でただ腐っていくのなんてまっぴらだ!―
結局、腐っちまう奴は何処へ行っても腐っちまうんだよな。