陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
自分がいると、小太郎が眠れないかもしれない。

そう思い、幸姫はそっと、部屋を後にした。いつも月を眺めていた縁側まで音を立てないようにそっと廊下を進んでいく。

「現実なんだな」

小太郎の話を思い出す。


ドラマや小説にあったチャンバラシーンを、私はいつもわくわくしながら読んでいた。

だけど。


殺るか殺られるか。

実際に、自分がそんな戦の真っ只中にいたとしたら。


目の前で、誰かが斬りつけられたりするのを見たり、自分が誰かに斬りかかられたりしたら。


「死んじゃうんだよね」


戦国時代はたくさんの武将が、天下統一を目指して戦を続けてきた。
戦はいわゆる戦争だ。

人を殺し、傷つける。

平和の為だ何だと言うけれど、人を殺めておいて何が平和なんだと、幸姫はいつも思っていた。

「どんな理由を並べ立てたって、人の命を奪っていい理由なんてないよ」

ひざを抱えて、顔を埋める。

「何でみんな、戦なんてするんだろう」

小さなため息をつきながら、幸姫は呟いた。


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