陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
そっと部屋の襖を開けると、布団は綺麗にたたまれていて、小太郎の姿はすでにどこにも無かった。

「えっ…!?」

慌てて部屋の中に入ってみるが、そこはもぬけのカラで、人がいた気配すらなくなってしまっていた。


…出て行ったんだ。


おとなしくしていなかった小太郎に少し腹が立ったが、それと同時に、あの怪我でどこかへ行ってしまったことが心配でならなかった。


あんな怪我で、誰かに襲われたら大変じゃんか。


「何をしている、早く支度をしないか」

「ぎょわぁ!」

不意に後ろから声をかけられて、幸姫は驚く。

「変な大声を出すな。家の者に迷惑だろう」

「あ、うん…ごめんなさい」

眉間に皺を寄せながら、小十郎に言われて、幸姫は頷いた。

「すぐ、準備します」

そう言って、幸姫は部屋の中に入り、襖のそばに置いてあった作業着を手に取る。

「…小太郎の馬鹿。信長なんて、そのうち明智光秀に殺されるんだから、ほっとけばいいのに」

ぎゅっと唇を噛み締めながら、服に袖を通した。


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