陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
待っていた小十郎と共に向かった先は、屋敷から数十分ほど歩いた場所にある畑だった。

「わぁ…!すっごい!」

大きなみずみずしい茄子にきゅうり、それから枝豆が、所狭しと生えていた。
今までに自分が見てきたどの野菜よりもおいしそうで、しかも大ぶりなものばかり。

「すごーい…こんなおいしそうな野菜、今までみたことない!」

目を輝かせながら幸姫がしゃがみこんで野菜を見ていると、小十郎がすっと1本のきゅうりを差し出してきた。

「食べてみるか?」

幸姫は少しドキドキしながらきゅうりを受け取り、一口かじってみる。シャキッという音と、たっぷりの水分が口の中に広がる。

「おいしいー!なにこれ、チョーうまい!」

何もつけていない状態のただのきゅうりなのに、気がつけば丸々1本食べきっていた。

「こいつを今から収穫する。幸姫はそっちの茄子の収穫をしろ。とげがあるから気をつけるんだぞ」

「はぁーい!」


なんか、学校の課外授業みたい。


茄子をせっせと収穫しながら、ふと幸姫はそんなことを思った。

きゅうりを手際よく収穫していく小十郎の姿が目に入った。


なんか…楽しそうだなぁ……


幸せそうな顔をしながら、次々と収穫していく小十郎。


本当は、やっぱり。

おっさんも戦なんてしたくないんだろうな。


守るものがあるから戦をする。
小十郎はそう言っていた。

そして、小十郎には守るべきものも、支えるべきものもたくさんある。

だから戦をする。


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