陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「手が動いてないぞ!」

「あわっ!はっはい!」

怒られて慌てて私は、茄子をまたちぎっていく。


みんながこうやって、畑仕事とかしながら過ごすことができたら、きっと戦もなくって、平和に暮らすってことができるんだろうな。


そんなことを思いながら、せっせと幸姫は茄子を収穫していった。

「それじゃ俺は今から城に行く。後は任せたぞ」

暫く2人で作業をしていると、小十郎が太陽を見ながら声をかけてきた。

「はーい。これ、頑張って収穫してます!」

「頼んだぞ」

「うん。行ってらっしゃい」

「ああ」

小十郎はそういうと、傍を通るときにまた、ぽんぽんと頭を撫でて行った。
幸姫は少しドキドキしながら、小十郎の後姿を見送る。

「…パパがいたら、こんな感じなのかな」

父親がどんななのかは正直よくわからない。周りの子はうっとうしいという子もいれば、色んなところに連れて行ってくれるから好きだという子もいるが、父親が自分にとってどんな存在なのかを教えてくれる子はいなかった。


ま、そんなこと話すこともないし、みんななんか気を使って、そういう話題は避けてたみたいだし。
でも。


小十郎に頭を撫でられるのは、どうやら嫌ではないらしい。

むしろ、なんとなく暖かい感じがして、好きかも知れない。


パパにもし褒められることがあったとしたら、こんな感じなのかな。


少しくすぐったいな、と思いながら、幸姫はまた、作業を再開した。




< 123 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop