陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
珍しく政宗が政務に励んでいる姿を見て、小十郎は少し嬉しくなった。


いつも抜け出してばかりの政宗様だったが。


「…なんだ、小十郎」

ふと気づくと、怪訝そうに政宗が小十郎を見ていた。

「いえ、何でも」

「そうか…なぁ、小十郎。そろそろ昼餉じゃないか?」

政宗が手に持っていた書簡を机に戻し、小十郎の方を見つめる。

「そうですね…そろ用意させまし…!」

言いかけてあることに気づいた。


そういえば、幸姫に昼餉を渡していない。


「どうした」

政宗が小十郎の顔を覗き込みながら聞く。はっと我に返り、小十郎は何でもないと言うと、慌てて部屋を出た。


ま、腹がすけば幸姫も一度、屋敷に戻るだろう。


そうだそうだ、と思い直し、小十郎は近くを通りかかった女中に声をかけ、政宗の昼餉の用意をするように伝えた。


< 124 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop