陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
ちょっと、おかしいなぁ~と思ってたんだよね。
だって。
この時代に、着物を着てる人なんて滅多に見かけないじゃない?


幸姫は連れて来られた大きなお屋敷の前で、呆然と立ち尽くしていた。

「何してるの。早くいらっしゃい」

喜多に言われて、はぁ、と頷く。

「…さっさと入れ」

後ろから今度は仏頂面の小十郎にせっつかれ、幸姫は重たい足取りで、大きな門をくぐった。


…いつの時代の家なのさ、ここ。


まるで大河ドラマに出てくるような武家屋敷風の建物。
中に入ると(案の定)立派な庭があり、忙しそうにばたばたと走り回っている女中さんたちがいた。


…だから、いつの時代の家だっての。


顔を引きつらせ、まるで不審者のようにきょろきょろと周りを見ながら喜多のあとにつづいていくと、連れて行かれたのは脱衣所だった。

「体が冷えてしまっているだろうから、しっかりと温めてから出ていらっしゃい」

「え?」

そういうと、ふふっと喜多は笑って脱衣所を出て行った。

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