陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「お父さん」


だって、お父さんがいたらきっと、おっさんみたいな感じなんじゃないかって思うんだよねー。

ダメなことはダメって怒るし、でも、優しい。
話はちゃんと聞いてくれるし、面倒見もなんだかよさそう。


うんうん、と頷いていると、小十郎の眉間に思いっきり皺がよっているのに気づく。

「あれ?嫌??」

幸姫が言うと、小十郎は当たり前だろう!と怒った。

「えー…そんなぁ…」

残念そうに幸姫が呟く。

「私、お父さんいないから、いたらきっと、お…小十郎さんみたいなんだろうなーとかって思ったんだけどなぁ…」

幸姫の言葉に、小十郎の眉がピクリと動いた。

「…父がいない、だと?」

「え?あ、うん。たぶん、死んだんじゃないかと思うんだけど…記憶の中にはお父さんはいなくって、物心ついたときからずっと、お母さんしかいなかったんだよね」

幸姫の言葉に、小十郎は驚きを隠せないといった顔をしていた。

「なに?なんか変なこと言った?」

首を傾げていると、小十郎はいや、と短く答えた。



< 137 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop