陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「とりあえず、今日の収穫はもういい。片づけをして、屋敷に戻っていろ」

小十郎はそう言い残して、畑から立ち去って行った。
幸姫は少し困惑した表情で小太郎を見る。

「片づけして戻れって」

小太郎は少し肩をすくめると、足元に落ちていた鎌を手に取り、片づけをはじめた。幸姫もボロボロになった野菜たちを手早く収穫してしまうと、台車にのせていった。

「あ…」

手に持っていた茄子を落としてしまう。
しゃがんで拾い上げようとした時、土が少し、赤黒く染まっているのに気付いた。


…さっきの人たち。
どうなったんだろう。


「ねぇ、こた」

「なんだ?」

声をかけたものの、なんて言えばいいのかわからなかった。


私を助けるために、あの人たちを傷つけた。
…ううん、傷つけたくらいではすんでいない。

きっと、殺した。


あの人たちはどうなったの?


ただ、そう聞こうと思っただけだったけど。

どうしても。
その一言が出てこない。


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