陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「…なんじゃこりゃ」

脱衣所もなんだか変わってるなーと思っていたが、お風呂場に面した引き戸を開けて最初に出た感想だった。

大きなお風呂。
一体、何人で入るつもりなんだとツッコミを入れたくなるような広さに、思わず口をついて素直な感想が出てきた。

ふんわりと香る檜の香りに、幸姫は少し感動する。


家はマンションだから、最近こんな大きなお風呂入ってなかったもんなぁ…


少しテンションがあがってきた幸姫。
軽く掛け湯をした後、浴槽に入ってみる。

「気持ちいい~!」

まるで温泉にでも浸かっているような気持ちになり、顔が自然と緩んだ。
身体の心まで温められていく感じが心地よかった。

お湯をちゃぷちゃぷとさせながら、幸姫は軽く首をコキンと鳴らす。


喜多さんってほんと、強引だよねー。
まぁでも。
滝壺に落ちて、一時はどうなるかと思ったけど。
これはありがたいなぁ。


と、そのときだった。

「あ!しまった!」

滝壺に落ちる瞬間に見た母の顔を思い出す。

「こんな所でのんびりしてる場合じゃなかったよ!」

幸姫は慌ててお風呂を出た。

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