陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
脱衣所に戻ると、脱いだはずの服がなくなっていた。

「え?えぇ??ど、どこ置いたっけ?」

慌てて脱衣所の中を探し回ってみるが、どこにも見当たらない。

「あら、もう出てきたの?ちゃんと温まった?」

喜多が手に1枚の着物を持って現れた。
幸姫は慌てて頭を下げる。

「あの、お風呂。ありがとうございました」

「気にしないで。片倉家たる者、このくらいは当然のことです」

喜多はにっこりと笑うと、幸姫にはい、と着物を手渡した。

「そうそう、あなたの着ていた…あの着物、今乾かしているから、乾くまでの間、私のもので悪いんだけれど、これで待っていてもらえないかしら」

そう言われて、幸姫は手渡された着物を見つめる。


…そうなんだよね。みんな着物着てるんだよね。
この辺りではそれが流行なのかなぁ…


「それにしても、あなたの着物。とても変わっているのね」

「え?」

「なんだかとても珍しい生地で繕ってあったもの。形も…見たことの無い形をしていたし」

喜多の言葉の意味が、一瞬分からなかった。


ジーパンにTシャツなんて、めちゃめちゃ普通じゃない?
着物の方がよっぽど珍しいよ??


首を傾げていると、喜多はそんなことより、と、幸姫に着物を着るようにと促した。
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