陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
どこをどう走っていったのか分からない。
ただ闇雲に、林の中を駆け抜けた。


私のお父さんは戦国武将?
そんな非現実的なこと、信じられるわけないじゃん!


パシパシと小枝が身体に当たる。
だが、幸姫は走るのをやめなかった。


真田幸村が私のお父さん?
そんなわけないじゃん!

それに、本当にそうだとしても、お母さんは何も言ってくれなかった。


「きゃっ!」

ズシャッと地面にむかって思い切り転んだ。
木の根っこに足を引っ掛けたようで、履いていた靴が少し離れた所に転がっていた。

体を起こし、転がっている靴を手に取ると、服に土を払い、靴を履いた。

「どうして…」

空を見上げる。
と、一筋の流れ星が見えた。


幼い頃は流れ星をいつも探していた。
ずっとずっと、父親にあうことだけを願い続けていた。
けれどその願いは一度だって叶わなかった。


< 171 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop