陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「…落ち着いたか」

どれだけ泣いたかわからないくらい、止まらない涙を流し続け、気づけば、うっすらと空が白んでいた。

「…少しだけ」

ごしごし腫れぼったい瞼を擦りながら、はぁ、と息をつく。

ほんの少しだけ、安堵した顔で、小太郎がぽんぽん、と頭を撫でてきた。

「父親のこと、知らなかったのか?」

聞かれて小さく頷く。

「知らなかった…というより、今の今まで忘れてたみたい」

思い出した記憶たちは、思いの外鮮明で、たくさんあった。

「別れが、辛かったんだ」

思い出して、一番大きく自分の中を占めた感情。
また、小さく息をはいた。


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