陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「小十郎、どういうことですか」

喜多が小十郎に難しい表情で問いただす。

「…政宗様がお決めになったことです。もう、ああなると」

小十郎が答えると、喜多は特大のため息をついた。

「あなたは初め、政宗様に幸姫殿を合わせることを嫌がってましたね。なぜです?」

喜多に聞かれて、小十郎は言葉に詰まった。

「ようやく、真剣にお世継ぎのことも考えて、愛姫様の元へと今までのように通ってくださるようになったかと思ったら」

はぁ、とため息をつく喜多に、小十郎も小さなため息をついた。

「…幸姫は、例の娘の子です」

小十郎の言葉に、喜多の眉がピクリと動く。

「まさか」

「確信はもてなかったのですが、幸姫がそうだ、と。ただ、本人は自分の母とこちらの言う玲子が、同一人物かどうかは分からないとも」

小十郎の言葉に、今度は特大のため息が出た。

「なんということ…最初からそうと分かっていれば、もっとあの2人が会わぬ様手を回したというのに」

「…黙っており申し訳ございません」

「過ぎたことをあれこれ言っても仕方がありません。それに、幸姫殿は玲子殿とは違います」

喜多はそう言うと、少しだけ心配そうな表情を浮かべた。

「…幸姫殿のことも、頼みましたよ、小十郎」

「はい」

小十郎は小さく頭を下げた。


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