陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「あ…!気が付いたのね!」

駆け寄ると、幸姫の顔や体をぺたぺたと触る。

「どこか痛いところはない?気分はどう?」

「あ、あの…?」

幸姫が口を開くと、喜多はほっとしたような表情で答えた。

「大丈夫ならいいの。急に倒れたって小十郎が言っていたから」

「姉上…気がつきましたか」

声のほうを向くと、小十郎の姿があった。

「えぇ、意識もはっきりとしているわ。この様子なら大丈夫ね」

喜多の言葉に、小十郎も少しだけ安堵した様子を見せる。

「姉上、私はこれから政宗様の所へ行って参ります」

その言葉に、喜多は小さく頷いた。

「ではすぐに支度を」

ごめんなさい、と幸姫に向かって言うと、喜多は小走りに部屋を出て行った。

「………」

小十郎と2人。
何か言うべきかと口を開いてみるが、何を言えばいいのか分からずそのまま口を閉じる。

何度かそれを繰り返した所で、小十郎があっと小さく呟いた。

「…思い出した。玲子だ」

「え…?」

幸姫が今度は驚いた表情を浮かべた。


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