陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
成実は焦っていた。


朝起きると、隣で寝ていたはずの幸姫の姿がなかった。だが、そのときは、厠にでもいっているのだろうと気にもしていなかった。



だが。


もう半刻程、いや、それ以上もしかするとたっているかもしれない。
宿の女将に頼んで宿中を厠や風呂も含めて探したが、どこにもおらず、幸姫の草履がなくなっていたのが決定打となった。


万が一のこともあると思い、とりあえず、今夜の分も2人分の宿賃を女将に払い、成実は急いで外へと出掛けた。


「一体、どこへ行ったんだ」

人通りのほとんどない町の中を、成実は駆けずり回った。




焦りが次第に大きくなってきた。


おいおい、冗談だろ。


成実は立ち止まって息を整える。日がすでに傾き始めていて、幸姫を探して、もうずいぶんになる。

何度か宿にも戻ってみたが、幸姫の帰ってきた様子はなく、手がかりすら見つかっていない。


…政宗に殺されちまうぞ。



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