陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「気がついたか」

不意に声がして、幸姫は振り返った。
そこには真っ黒な衣服に身を包んだ、怪しげな人物が立っていた。


「…誰?」

眉をひそめる。
灯りがないため、その人物の顔は見えない。

続けて何かを聞こうと口を開いた時だった。


「気がついたか」

ジャリっという音がして、そして、反対側から声がした。
今度は別の人の声だ。

声のした方を向くと、灯りを手にした、品の良さそうな、歳は30半ばくらいだろうかと思われる男が立っていた。

最初に声のした方をもう一度見てみるが、そこにいた人物はもう居なくなっていた。

「お主、名はなんという?」


声をかけられ、幸姫は再度男の方を見た。




< 238 / 524 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop