陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
いつも戦以外で奥州を出ることなどほとんどなかった。
玲子のことを完全に諦めたあの日からは一度たりとも。

馬を目一杯の速さで走らせながら、ふと、幸姫のことを思った。

玲子に似た、あの横顔を見たとき、胸の中がざわざわとした。


…性格は似ている気もするが、まだ青いな。


兎を仕留め損ねたときの幸姫の表情は、あきらかに安堵の色を浮かべていた。


玲子ならば仕留めたはずだ。


玲子には、まだ年端もいかぬ女子だというのに、目的の為に何かを犠牲にする事への覚悟が、すでに感じられていた。


幸姫には、まだそれが足りん。


そう思うと同時に。


だが、それがなんだ。
俺が仕込んでいけばいいだけのことだ。


くくっと小さな笑みをもらす。


玲子の娘ならば素質はあるはずだ。
俺が育てあげればいい。

そう、俺の女に相応しい、最高の女に。



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