陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「お久しぶりでございます」

深々と頭を下げる政宗。
目の前には家康のほかに、信長の姿もあった。


なんで信長がここに居るんだよ。


思わず舌打ちが出そうになったのをぐっとこらえた。

「そう畏まらずともよい。遠路、よくきてくれた。長旅で疲れたであろう?」

家康が笑って言う。

「いえ…」

ふぅ、と小さく息をつくと、政宗は顔を上げた。


まぁいい。
とっとと済ませて、帰るだけだ。


「今日の茶会だが…男ばかりでは華がない。そこで、この場に華を添えようと思って、もう一人、招待している人物が…」

家康がそう言った時だった。

「殿」

トントン、と障子が軽く叩かれた音がした。

「遅くなりました。支度が整いました」

障子の向こうから、女性の声がする。

「うむ、入れ」

「はい。さ、どうぞ」

そう言って、障子が開けられ、中に入ってきた人物を見て、政宗は愕然とした。

「なっ…!?」

思わず立ち上がりそうになった。

「伊達殿…?」

信長の声に、政宗はその場にすっと座りなおした。
にぃっと笑う信長。

政宗は、ぎりっと歯を食いしばった。


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